病気事典[家庭の医学]
こうしん・こうくうないのそんしょう
口唇・口腔内の損傷
口唇・口腔内の損傷について解説します。
執筆者:
洛和会音羽記念病院院長 小川 豊
どんな外傷か
口の周囲および口のなかを損傷するもので、切創(せっそう)、割創(かっそう)、擦過創(さっかそう)、咬創(こうそう)、挫滅創(ざめつそう)、刺創(しそう)や熱傷(ねっしょう)などがあります。
原因は何か
犬による咬創が口の周囲に多くみられます。犬が本能的に攻撃する部位にあたるためです。バイクや自転車で転んだ時の挫滅創や擦過創は、皮膚の直下に骨のある上唇によくみられます。
幼児では箸(はし)による刺創があり、高温の食べ物、飲み物による熱傷も時にみられます。高齢者では不適当な義歯(ぎし)による一種の褥瘡(じょくそう)が歯槽部(しそうぶ)(はぐき)に生じます。
自分の歯で頬部(きょうぶ)粘膜を咬んだり、下唇を傷つけたりすることがあります。
症状の現れ方
犬による咬創は、口唇周囲の切創(図22・左)、刺創、割創の状態で生じます。バイクなどの転倒事故では擦過創が多く、適切な処置をしないと傷が道路の砂などを含んだまま治って、青色の外傷性刺青(しせい)となって残ります。
幼児では箸、先のとがった玩具などが転倒などの拍子に突き刺さり、折れてなかに取り残されることがあります。当初は気づかなくても4~5日後に発赤、はれ、感染を生じます。
検査と診断
事故が明確な時は原因、診断が容易です。家族のいあわせない時の幼児の事故では現場をよく観察し、玩具などの破損の有無をチェックします。異物混入にはMRI、CT検査が必須です。
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情報提供元 :
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