病気事典[家庭の医学]
せんてんいじょうしょうこうぐん
先天異常症候群
先天異常症候群について解説します。
執筆者:
大阪府立母子保健総合医療センター遺伝診療科科長
岡本伸彦
どんな病気か
先天異常症候群は、先天的な形態異常や機能異常を一定のパターンで共有して、疾患単位として確立したものです。比較的よくみられる疾患は20種類程度ですが、まれなものを含めると多数になります。
たとえば、ヌーナン症候群、コルネリア・デランゲ症候群、ルビンシュタイン・テイビ症候群、ウィリアムス症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群、ソトス症候群などです。マルファン症候群、22q11・2欠失症候群やダウン症候群は、本書の別項で記載されています。
原因は何か
染色体異常や発生・形態形成関連遺伝子の変異が多いです。胎児アルコール症候群や胎児抗てんかん薬症候群のように、環境因子が主要原因のものもあります。原因不明の場合も少なくありません。
症状の現れ方
症候群によって特徴的な顔貌(がんぼう)があります。ダウン症候群のように、経験ある医師がみれば生後すぐにおよその診断がつく疾患があります。乳幼児健康診査で首のすわりがおそい、歩行開始の遅れ、言葉の発達の遅れ、体重増加不良などの理由で精密検査になってわかる場合もあります。先天性心疾患などの診療の過程で気づかれる場合もあります。
検査と診断
症状に合わせて、血液検査やX線検査をします。発達の遅れがあれば、脳波や頭部CT、MRI検査が必要です。確定診断のために染色体検査や遺伝子診断の適応になる場合もありますが、全例で変化が見つかるとは限りません。
治療の方法
根本的な治療法はなく、それぞれの合併症に対しての治療となります。発達の遅れに対しては療育訓練が必要です。
成長障害が顕著な場合、栄養評価やホルモン系の検査が必要です。
病気に気づいたらどうする
小児科の専門病院を受診するのがいいでしょう。公的な小児病院には専門の医師がいます。内臓疾患の合併や視聴覚、運動系の問題についても総合的に評価を行います。遺伝の問題に関しては遺伝カウンセリングを行います。
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情報提供元 :
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