病気事典[家庭の医学]

まんせいひろうしょうこうぐん

慢性疲労症候群

慢性疲労症候群について解説します。

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慢性疲労症候群の解説(コラム)

 慢性疲労症候群は1980年代後半、米国のある地域で多発したことから注目されたもので、それまでさまざまな病名で呼ばれていたものを、この病気の中心症状である慢性疲労を病名として用いたものです。

 慢性疲労症候群は激しい全身倦怠感(けんたいかん)・疲労感が比較的急激に起こり、その他に多彩な症状を伴う原因不明の病気です。人口のおよそ0・3%にみられ、20〜50代に発病します。かぜのような感染症が引き金となりますが、原因は不明です。

 この病気では、発病前の活動が半分以下にも低下する激しい全身倦怠感・疲労感が急激に起こり、微熱、のどの痛み、関節や筋肉の痛み、こわばった感じやリンパ節のはれ、頭痛や落ち込んだ気分などがみられます。

 検査では、膠原病(こうげんびょう)の診断に有用な抗核抗体がしばしば陽性となるほかには、一般的な検査では明らかな異常はみられません。したがって、この病気の診断には血液検査やX線検査からでなく、症状の内容、程度と診察結果から診断の手引きに照らし合わせて行われるため、しばしば診断が困難となります。

 治療は根治的なものはなく、基礎療法として大量のビタミンCやB12、漢方薬や抗うつ薬も用いられることもあります。また、認知行動療法などが行われることがありますが、難治性の経過をとることがしばしばです。

 しかし、この病気によって死亡することはありません。線維筋痛症(せんいきんつうしょう)と類似の病気であり、両方の病気がお互いに合併することが3分の1にあります。

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