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バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 病気事典[家庭の医学] - メディカルiタウン


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病気事典[家庭の医学]

ばんこまいしんたいせいおうしょくぶどうきゅうきんかんせんしょう

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症

バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症について解説します。

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どんな感染症か

バンコマイシン(VCM)耐性黄色ブドウ球菌感染症は、文字どおり、VCMに耐性を獲得した黄色ブドウ球菌による感染症で、症状は、通常の黄色ブドウ球菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による感染症と本質的には変わりません。唯一の違いは、バンコマイシンにより治療しようとした場合、治療が難しくなるという点です。

日本では幸いにも現時点では、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌およびそれによる感染症例の報告はありません。

バンコマイシンとMRSA

バンコマイシンは、日本ではMRSAによる感染症などの治療薬として認可されている抗菌薬です。MRSAがバンコマイシン耐性遺伝子を獲得することによりバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)が発生することが危惧されていますが、もともとMRSAは健常者に発症することはまれな日和見(ひよりみ)感染症の原因菌です。手術後の患者さんやお年寄り、あるいは糖尿病などの基礎疾患のある患者さんのように、多くは感染防御機能が低下した発症しやすい患者さんで問題となる耐性菌のひとつです。

このMRSAは、日本で承認されている多くの抗菌薬に耐性を示すことから、1980年代までは有効な治療方法が少なく、不幸な転帰の原因となり、また院内感染を起こすなど、たびたび社会問題となってきました。

1991年からグリコペプチド系の抗生剤で、この菌に有効な特効薬とされるバンコマイシンの注射薬が日本でも認可され、広く医療現場で使用されるようになりました。

また、2002年にはシナシッド(ストレプトグラミン系)、2006年にはリネゾリド(オキサゾリジノン系)も認可され、さらに、海外ではダプトマイシン(リポペプチド系)などもMRSA感染症の治療薬として承認されています。

VRSAの出現

すでに1992年には、黄色ブドウ球菌がバンコマイシン耐性腸球菌(ちょうきゅうきん)(VRE)からその耐性遺伝子を獲得することが実験的に示され、VRSAの出現が臨床的にも危惧されていました。

1997年には、日本でバンコマイシンに低感受性を示す黄色ブドウ球菌の分離が報告され、その後同様な株の報告も国内外で散見されるようになりました。

これらの株はいずれも形態学的には細胞壁の肥厚が観察されますが、その原因となる遺伝子がいまだに特定されていません。それどころか、細胞壁合成に関与する不特定の複数の遺伝子の変調でバンコマイシン低感受性という形質が出現することが、一般的な認識となりつつあります。

また、バンコマイシン低感受性株の分離方法、再現性にも問題があることなどから、論文で報告されたような遺伝的特徴をもった特定の耐性株の存在そのものの信憑性(しんぴょうせい)が、強く疑問視されるようになりました。

ところが2002年6月に米国のミシガン州の病院でvanA遺伝子をもつVRSAが検出されたのを契機に、現在までにペンシルバニア州(1例)、ニューヨーク州(1例)、ミシガン州(4例)から、同様のVRSA株が計7株確認されています。これらの菌はいずれも、バンコマイシン耐性腸球菌のもつバンコマイシン耐性遺伝子(vanA)と同じ遺伝子をもっていることが確認されました。

また、ミシガン州で分離されたVRSA株は、プラスミド(染色体以外の複製可能な環状DNA。菌から菌への遺伝子の伝達に関与する)にこの耐性遺伝子が存在しており、このことはバンコマイシン耐性腸球菌から黄色ブドウ球菌に耐性遺伝子が伝達する危険性を示唆するものでした。

しかし、幸いなことにこれらの菌が、感染した患者さんの家族やほかの患者さん、医療関係者に伝播(でんぱ)したとの報告は今のところありません。

症状の現れ方

VRSAによる感染症は、黄色ブドウ球菌感染症にみられる臨床症状と基本的に同じですが、感染防御機能の低下した感染症を発症しやすい患者さんでは、皮膚の傷口の感染症とともに、とくに肺炎敗血症(はいけっしょう)などといった重い感染症を引き起こす可能性があります。

ミシガン州の患者さんは40歳の女性で、高血圧糖尿病、末梢循環不全、慢性腎不全により透析(とうせき)治療を受けていて、中心静脈カテーテルの挿入部などからVRSAが検出されました。2例めのペンシルバニア州の患者さんは70歳の男性で、慢性足潰瘍(そくかいよう)が認められ、足底の潰瘍部からVRSAが分離されました。3例めのニューヨーク州の患者さん(63歳女性)は腎瘻(じんろう)チューブの尿から菌が分離されました。4~7例めまでは、すべてミシガン州で発見されました。78歳男性、58歳女性、48歳男性、43歳女性で、それぞれ、足のつま先の傷口、術創、足底の潰瘍、上腕部傷口からVRSAが分離されました。

検査と診断

黄色ブドウ球菌の同定およびバンコマイシンに対する感受性試験により、容易に診断されます。特殊な検査などの必要はなく、一般病院でも同定と識別が可能です。

治療の方法

現在認可されている多くの抗菌薬に耐性を示すため、有効な治療法は限られています。基礎疾患に対する治療が重要と思われますが、米国で2002年に報告された2人の患者さんは全身状態が改善されると、いずれも菌は消え、その後この菌は検出されていません。

病気に気づいたらどうする

有効な治療法が乏しい現状では、この菌のほかの患者さんへの伝播を防ぐことが大切です。VRSAの蔓延(まんえん)を防ぐため、菌の分離された患者さんはただちに病院内で個別管理とし、接触感染予防策の徹底が不可欠となります。また、感染症法に基づいて、全症例について、保健所への届け出が必要です。

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