病気事典[家庭の医学]

いぬしじょうちゅうしょう

イヌ糸状虫症

イヌ糸状虫症について解説します。

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どんな感染症か

いわゆるイヌのフィラリアですが、ヒトもイヌ糸状虫の幼虫をもった蚊に刺されると感染します。イヌにとってイヌ糸状虫症は死に至る怖い病気ですが、ヒトでは症状のないことが多く、胸のX線検査で偶然見つけられることの多い病気です。

なお、動物の寄生虫がヒトの体内で成熟できず、幼虫のままあちこち移行して起こす病気を総称して幼虫移行症といい、イヌ糸状虫症もそのひとつです。

症状の現れ方

咳(せき)、痰、胸痛、発熱があるといわれますが、ほとんどは無症状です。高年齢層に多く発見されます。

検査と診断

胸部X線写真で、肺に丸い影が見つかった時に疑われます。抗体検査が有効な時もありますが、感染していても抗体の反応が出ないこともあります。いちばん問題になるのは肺結核(はいけっかく)や肺がんとの区別で、こちらの検査を積極的に行います。

治療の方法

この虫は、見つかった時はすでに死んでいることが多いので、イヌ糸状虫症の診断がついていれば、あえて治療をする必要はありません。ただ、肺がんを否定しきれない時は外科的に肺を切除することがあります。

病気に気づいたらどうする

放置してかまいません。ヒトのなかでイヌ糸状虫は成熟できないため、飼いイヌにうつすこともありません。ただ、イヌを飼っている人は、イヌのためにも自分のためにも、イヌ糸状虫症を予防することが大切です。

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