病気事典[家庭の医学]
はいのうよう
肺膿瘍
肺膿瘍について解説します。
執筆者:
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター長
岡田全司
どんな感染症か
肺膿瘍とは、肺胞性肺炎(はいほうせいはいえん)である細菌性肺炎が重症で広範囲にわたるため、肺の組織が壊されて腐ってしまい(壊死(えし))、うみがたまる(膿瘍)ことをいいます。
肺化膿症、肺膿瘍、肺壊疽(えそ)は、ほとんど同意語として使われています。結核(けっかく)、真菌(しんきん)、寄生虫によるものは、化膿性炎症による膿瘍形成ではないので肺化膿症には含みません。
とくにほかの病気がない場合を原発性(一次性)肺膿瘍といい、肺炎に引き続いてみられます。続発性(二次性)肺膿瘍は、肺がん(扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんなど)の中心部が壊死に陥り、これに感染が加わって生じたものや、周囲の臓器の炎症が広がって生じたもの(横隔膜下膿瘍(おうかくまくかのうよう))です。
気管とつながれば膿瘍・壊死物質(うみと腐った物質)が外に出て空洞がつくられ、この空洞のなかに壊死物質がたまります。
検査と診断
細菌性肺炎の場合とほとんど同じですが、胸部X線検査では、空洞化した陰影のなかにニボーといわれる水平(鏡面)形成像がみられるのが特徴です。黄色ブドウ球菌、緑膿菌(りょくのうきん)、嫌気性菌(けんきせいきん)による肺炎にみられやすくなります。
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