病気事典[家庭の医学]
にくげしゅせいえんしょう
肉芽腫性炎症
肉芽腫性炎症について解説します。
執筆者:
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学教授
宇谷厚志
肉芽腫性炎症の解説(コラム)
生体のさまざまな組織反応のなかで、組織球の密な浸潤(しんじゅん)が組織学的に証明されれば、肉芽腫と診断します。おおまかに、中心に乾酪壊死(かんらくえし)(チーズ=乾酪に似た黄白色で乾燥性の壊死)を伴うものを類結核性肉芽腫(るいけっかくせいにくげしゅ)、壊死のないものをサルコイド肉芽腫といいます。
さまざまな病因により生じますが、大きく分けて感染性のものと非感染性のものとがあります。
感染性では、結核(けっかく)(乾酪壊死)、ハンセン病(神経周辺の肉芽)、梅毒(ばいどく)(形質細胞をもつ)、猫ひっかき病(大きな肉芽)、非定型抗酸菌症(ひていけいこうさんきんしょう)(プール肉芽腫症など)があげられます。ほかに免疫、全身状態などにより、真菌、細菌、ウイルスでも肉芽腫性炎症を起こすことがあります。
非感染性肉芽腫の異物肉芽腫は、シリカ(タルク(手術手袋の粉)、スレート、レンガ、コールの成分、シリカの吸入など)、ベリリウム(全身性ベリリウム症)、ジルコニウム(デオドラント剤、腋窩(えきか)に発生)で起こります。ウニによる刺傷、脂肪(アテローマ破裂による)、入れ墨によって引き起こされることもあります。
サルコイドーシス、肉芽腫性口唇炎、環状肉芽腫(かんじょうにくげしゅ)、脂肪類壊死症(しぼうるいえししょう)、サルコイド反応なども非感染性肉芽腫に入ります。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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