病気事典[家庭の医学]

かんぴしょう、ひしげんしょうせいひふえん

乾皮症、皮脂減少性皮膚炎

乾皮症、皮脂減少性皮膚炎について解説します。

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どんな病気か

皮脂が減っていくのに伴って皮膚が乾燥した状態を乾皮症と、さらにかゆみと皮膚炎が加わったものを皮脂減少性皮膚炎と呼びます。

原因は何か

年齢とともに肌が次第に乾燥してくることが原因になることが最も多く、頻度は30歳ころから次第に増えます。皮膚の表面の角質には、セラミドや皮脂などの油成分があり、それが皮膚の水分の蒸発を防いでいるのですが、年齢とともにこれらの油成分が減ってくると、皮膚の水分が勢いよく蒸発していって乾燥肌になります。

乾燥肌になると、皮膚の表面に細かいひび割れができ、そこから汗など皮膚のかゆみを起こす物質がしみ込んでかゆみや皮膚炎を起こしたり、かゆみを感じる神経が乾燥肌にたくさん伸びてきて、かゆみを感じやすくなると考えられています。季節的には空気の乾燥する秋から冬、そして春先までかゆみが続き、夏になるとかゆみを感じなくなります。

症状の現れ方

下肢をはじめ体幹・上肢などの皮膚が乾燥して粉を吹いたようになり、やがて丘疹(きゅうしん)(ぶつぶつ)やかき傷などの皮膚炎が生じてきます。かゆみはとくに夕方から夜にかけて、あるいは血液循環がよくなったときに強く、暖房のよく効いた部屋や入浴後、布団や電気毛布に入って体が温まった時に感じやすくなります。

検査と診断

冬などの空気が乾燥する季節に限らずかゆみがある場合は、糖尿病、肝臓病、腎臓病、甲状腺(こうじょうせん)疾患などが原因のこともあるので、血液検査をします。疥癬症(かいせんしょう)でも同様の症状になることがあるので、かゆみが強く周囲の人に同じ症状がある場合は、皮膚科での診察が必要です。

治療の方法

入浴後に肌に水分と油分を補給する保湿クリームやローションを塗ります。皮膚炎を起こしているところには、弱いステロイドの塗り薬を併用するとより効果的です。かゆみのために寝つけない場合は、かゆみ止めとして抗ヒスタミン薬の内服が有効です。ただし、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)や緑内障(りょくないしょう)のある場合は抗ヒスタミン薬の内服で悪化することがあるので、医師や薬剤師に相談してください。

病気に気づいたらどうする

暖房をかけすぎないようにして、部屋の乾燥を防ぐように心がけます。電気毛布のスイッチは寝る時には切るようにします。香辛料の効いた辛い食べ物やお酒は血液の循環をよくしてかゆみを増やします。入浴時にナイロンタオルで体をごしごしこするとさらに肌が乾燥するので、石鹸を手のひらで泡立てて手のひらで優しく体を洗うようにします。

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