病気事典[家庭の医学]
かへいじょうひふえん
貨幣状皮膚炎
貨幣状皮膚炎について解説します。
執筆者:
京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学教授 加藤則人
原因は何か
皮膚の乾燥が原因になることが多く(皮脂減少性(ひしげんしょうせい)皮膚炎)、秋から冬にかけて空気の乾燥や暖房に伴って現れ、悪化します。
また、金属アレルギーや扁桃腺炎(へんとうせんえん)、歯周病(ししゅうびょう)などの細菌感染が原因になることもあります。
症状の現れ方
小さな丘疹(きゅうしん)がかゆみとともに次第に大きくなり、硬貨から鶏卵くらいの大きさの円形や楕円形の茶褐色の湿疹が下肢、とくにすねの部分に現れ、次第に腕や体幹に広がっていきます。強いかゆみがあり、時には睡眠が妨げられることもあります。表面からは滲出液(しんしゅつえき)が出てじくじくしたり、かさぶたになることを繰り返します。乾燥が原因の場合には、春から夏になると次第に軽くなります。
検査と診断
円形の紅斑(こうはん)が次第に大きくなり、とくにステロイド外用薬を塗っても効果がみられない場合、白癬菌症(はくせんきんしょう)(たむし)の可能性があります。厚く白い鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれ落ちる角質)がみられ、肘(ひじ)や膝(ひざ)をはじめ全身に円形の紅斑がみられる場合は、乾癬(かんせん)の可能性があります。皮膚科を受診し、時には皮膚の生検で診断をします。
病気に気づいたらどうする
過度の暖房をひかえ、入浴時の洗いすぎ(ナイロンタオルなど)を避け、皮膚の乾燥を防ぐよう心がけてください。アルコールや香辛料は血行を良くしてかゆみが強くなることがあります。かくことで病変は悪化するため、早めに皮膚科を受診して治療を始めるようにします。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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