病気事典[家庭の医学]
れっしゅ・ないはんしょうこうぐん
レッシュ・ナイハン症候群
レッシュ・ナイハン症候群について解説します。
執筆者:
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科助教 岡部英明
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授 細谷龍男
どんな病気か
細胞のなかの核酸(かくさん)という物質のなかに含まれているプリン体を再利用するためには、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼという代謝酵素が必要です。この酵素のはたらきが先天的にほぼ完全に欠けている場合、ヒトの体で尿酸が過剰に産生されて高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)や痛風(つうふう)となります。この病気をレッシュ・ナイハン症候群と呼んでいます。
レッシュ・ナイハン症候群の発症頻度は、男児10万人に1人とされています。ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼの遺伝子は、性染色体のX染色体上に存在することがわかっているため、患者さんの母親が保因者となり、患者さんは男性に限られるはずですが、まれに女児の発症例が報告されています。
症状の現れ方
レッシュ・ナイハン症候群は、舞踏病(ぶとうびょう)様アテトーゼ(不随意(ふずいい)運動のひとつ)、筋硬直(こうちょく)、精神運動発達遅滞(ちたい)、唇や指先をかみちぎる自傷(じしょう)行為などの特異的な症状が現れます。そのほか、高尿酸血症が認められます。
また、ヒポキサンチン・グアニンホスホリボシールトランスフェラーゼの部分欠損(酸素活性が低下している状態)の時は、これらの症状がなく、高尿酸血症や痛風だけのこともあります。
乳児期の早期から哺乳異常や発育の不良がみられ、その後、運動発達の遅延が明らかになってきます。1歳を過ぎるころより不随意運動が現れ、2歳を過ぎるころに自傷行為が現れてきます。
高尿酸血症は、生後まもなくから認められます。おむつに赤褐色の尿酸結晶が付着することもあります。
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