病気事典[家庭の医学]
ばせどうくりーぜ
バセドウクリーゼ
バセドウクリーゼについて解説します。
執筆者:
医療法人社団白寿会田名病院理事長・院長
阿部好文
バセドウクリーゼの解説(コラム)
クリーゼとはクライシス(危機)のことで、バセドウクリーゼとはバセドウ病で命が危機にさらされるほどの究極の状態を指す言葉です。
実際に明確な定義があるわけではなく、未治療のバセドウ病患者さんで感染症、手術、出産などのストレスをきっかけに、毎分120回以上の頻脈(ひんみゃく)、滝のように流れる汗、頻回の下痢、高熱、精神的な不穏状態などの激しい甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)が起こったものをいいます。
眼球の突出や甲状腺腫などの状況からバセドウ病と推定したら、血液検査の結果などは待たずに治療を始めます。治療は大量の抗甲状腺薬、β(ベータ)遮断薬、副腎皮質ステロイド薬、酸素吸入、身体の冷却などです。現在でも死亡率は高く、10〜75%といわれています。
しかし、バセドウ病とすでに診断されている患者さんでクリーゼが起こることは極めてまれです。医師の指示に従って治療を続けている患者さんが、クリーゼを心配することはありません。
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