病気事典[家庭の医学]

あくせいこくしょくしゅ

悪性黒色腫

悪性黒色腫について解説します。

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悪性黒色腫の解説(コラム)

 悪性黒色腫は、皮膚の色素細胞(メラノサイト)から発生する皮膚がんの一種です(図31)。最も多くみられるのは足の裏ですが、肛門にもまれに発生することがあります(悪性黒色腫全体の1・5%)。悪性黒色腫は、腫瘍が小さくても肺、肝、脳、骨、リンパ節、皮膚に早期に転移しやすく、予後の極めて悪い病気です。

 肛門部の悪性黒色腫は、痔疾患に伴って偶然に発見される場合もありますが、腫瘍が大きくなると痛み、出血、しこりなどの症状がみられます。鼠径部(そけいぶ)に硬いリンパ節を触れることもあります。

 診断は組織検査によって確定します。血行性に転移しやすいため、悪性黒色腫が疑われる場合は外来でむやみに生検せず、手術が行える準備のもとに入院し、ただちに迅速組織診断が行われます。

 治療は、ほかに転移がみられなければ、鼠径リンパ節郭清(かくせい)を伴う直腸切断術、または局所切除術が行われます。抗がん薬による化学療法は、切除したあとの再発や転移を予防する目的で行われます。放射線療法は、悪性黒色腫には効きにくいと考えられていますが、皮膚転移に対して温熱療法と組み合わせて行われることがあります。

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