病気事典[家庭の医学]

しょうかかんのびょうきのとくちょう

消化管の病気の特徴

消化管の病気の特徴について解説します。

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解説(概論)

食物を食べると、食道(しょくどう)に入っていきますが、この時「ごっくん」をすると喉頭(こうとう)に蓋(ふた)がされ、食物が気管に入らないよう調整されます。食道の最も重要な仕事は、食物を胃にスムーズに移動させることです。食物が胃に入るとペプシンという蛋白分解酵素が分泌され、消化活動が開始されます。

食物は次いで十二指腸(じゅうにしちょう)に移動し、ここで膵臓から分泌される蛋白質、炭水化物、脂肪などを分解する酵素が合流し、消化活動がピークに達します。また、膵臓(すいぞう)からは重炭酸塩と呼ばれるアルカリ液が分泌され、胃酸が中和されるため、十二指腸の始まりの部分(球部)を除く他の部位では、消化性潰瘍(しょうかせいかいよう)の発生はほとんどありません。十二指腸の長さは25〜30cmしかなく、6mもある小腸のなかではごくごく小さな部分にすぎませんが、日本人では小腸の病気の90%以上が十二指腸の病気で占められています。

食物は、小腸で十分に消化されたあと、大腸に送られます。大腸では、腸内細菌によって未消化物が分解され、さらに水分が吸収されることによって固形の糞便が形作られていきます。

このように、食物の消化、吸収活動をする食道、胃、小腸、大腸をまとめて消化管と呼んでいます。

消化管の病気のうち、日本では胃の病気の発生率が最も高く、次いで大腸の病気、食道の病気と続きます。幸いなことに消化管のなかで最も長く、観察しにくい小腸の病気の発生率が最も低くなっています。しかも、小腸の病気の大半を内視鏡観察が可能な十二指腸の病気が占めているのです。

消化管は、口から摂取された食物を消化吸収する臓器であり、その粘膜側は常に食物、消化液、細菌などにさらされているため、病気にかかりやすくなっています。したがって、消化管の疾患はほとんどがその内側に位置する粘膜の病気であり、診断のためには、バリウムによる造影や内視鏡による観察が必要になります。また、消化管で生理的な作用を営んでいる消化液も、胃・十二指腸潰瘍における胃酸のように障害物質になることが知られています。

ここでは、消化管の代表である胃と腸の病気について概略を述べます。

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