病気事典[家庭の医学]

いわゆるおやしらずについて

いわゆる「親知らず」について

いわゆる「親知らず」についてについて解説します。

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いわゆる「親知らず」についての解説(コラム)

 最後方にある第三番めの大臼歯(きゅうし)(智歯(ちし))のことをいいます(図29)。生えてくる位置や傾き、時期なども個人差が大きいといえますが、他の永久歯がすべて生えそろったあと、およそ20歳ころに生えてくるといわれています。一般的に6歳臼歯(第一大臼歯)、12歳臼歯(第二大臼歯)に比べて小さく、形は変化に富んでいて、先天的に欠如する頻度も高いです。

 下あごの親知らずは、前へ傾いていたり水平になっていたりすることが多く、上あごでは後ろ向きに傾いていることがあり、歯(歯冠(しかん))の全部あるいは一部が埋伏(まいふく)した状態になることがしばしばあります。

 また、親知らずは、歯列のいちばん奥にあって歯ブラシが届きにくいために歯のまわりが不潔になりやすく、とくに歯冠の一部が埋伏した状態では、歯冠と歯ぐきとの間に細菌が繁殖して歯冠周囲に炎症(智歯周囲炎)が起こったり、むし歯になったりします。一度むし歯になった親知らずは、いちばん後ろにあるため治療が困難です。

 生えてくるスペースの不足のため、親知らずが噛み合わせに参加することはあまり多くありません。せっかく生えてきても前方の歯を圧迫し、不正咬合(ふせいこうごう)を引き起こしたりすることもあります。また傾斜や位置の異常により下あごの動きを制限し、あごの関節の病気(顎関節症(がくかんせつしょう))を引き起こす場合もあります。

 正常に生えてきて何も障害を与えない場合はとくに処置を必要としませんが、生えてくるスペースの不足のため炎症症状を引き起こしたり、隣りの歯や歯列に悪影響を及ぼしたりする場合には、抜歯が選択されます。

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