病気事典[家庭の医学]
きゅうせいえしせいかいようせいしにくえん・ししゅうえん
急性壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎
急性壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎について解説します。
執筆者:
日本大学歯学部歯周病学教授 伊藤公一
どんな病気か
従来は最初の報告者の名前をとって、ワンサン潰瘍性歯肉炎や口内炎ともいわれていました。しかし、急激に発症し、歯肉の壊死、潰瘍の形成、偽膜(ぎまく)の形成、疼痛および強い口臭などを特徴とすることから、急性壊死性潰瘍性歯肉炎・歯周炎と呼ばれるようになりました。
すでに歯肉炎にかかっていた人にこの病気が合併すると急性壊死性潰瘍性歯肉炎と、歯周炎に合併すると急性壊死性潰瘍性歯周炎といわれます。これらは口のなか全体に起こる広範型と、数歯に起こる限局型に分けられます(図43)。
症状の現れ方
急激に歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭(しかんにゅうとう))に痛みが出て、赤くはれ、1~2日で歯間乳頭は破壊され死んでしまい(壊死)、潰瘍が形成されます。
潰瘍部は、白血球、赤血球、フィブリン、壊死組織片、細菌塊などからなる灰白色の偽膜でおおわれます。偽膜ははがれやすく、取れてしまうと潰瘍部が露出するため、血が出やすく、食べ物や歯ブラシなどが当たることで痛みも現れます。
通常、歯間乳頭と歯の縁の歯肉に病変は限られ、歯間乳頭がクレーター状に陥没するので、歯と歯の間にすきまができます。軽症の場合は4~5日で治りますが、重症になると病変は歯槽(しそう)粘膜、扁桃(へんとう)など周囲組織に波及し、発熱、頭痛、倦怠感(けんたいかん)、所属リンパ節の腫脹(しゅちょう)などが現れることもあります。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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