病気事典[家庭の医学]
へいこうかんかくをかんちするきかん
平衡感覚を感知する器官
平衡感覚を感知する器官について解説します。
執筆者:
広島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科診療准教授
工田昌矢
平衡感覚を感知する器官の解説(コラム)
耳には音を聞くはたらきのほかに、体のバランスをとる「平衡感覚」の役割があります。耳の平衡感覚を感知する器官としては、耳石器(じせきき)と半規管(はんきかん)があります。
耳石器は2つあって、卵形嚢(らんけいのう)は水平に、球形嚢(きゅうけいのう)は垂直に位置していて、この2つのふくろのなかには、リンパ液と炭酸カルシウムでできている耳石という小さい石が入っています。
耳石器の内部は薄い膜でおおわれていて、その奥には有毛細胞という細かい毛の生えた感覚細胞があります。耳石がリンパ液のなかを動くと、この有毛細胞の毛が刺激されて、位置を感知することができます。卵形嚢は水平方向の動きを、球形嚢は垂直方向の動きを感知します。
半規管は、前半規管・後半規管・外側半規管の3つがあり、まとめて三半規管(さんはんきかん)と呼ばれています。
半規管は3つの中空のリングから構成されていて、内部は内リンパ液で満たされています。前庭の近くに膨大部(ぼうだいぶ)と呼ばれるふくらみがあり、そこには感覚毛をもった有毛細胞があります。感覚毛の上にはクプラと呼ばれるゼラチン状のものが載っています。内リンパ液が動くことによって、クプラが押され、感覚毛が曲がり、有毛細胞が興奮します。頭部が回転すると、内リンパ液はしばらく静止したままなので、感覚毛が逆に曲がります。この情報と視覚の情報から体が回転したと認識します。
3つの半規管はそれぞれ別の面にあるので、あらゆる回転方向を認識することができます。これらの半規管はそれぞれ直角に交わっていてx、y、z軸のように3次元空間の回転運動の位置感覚を感知します。
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