病気事典[家庭の医学]

こうげんびょうせいにゅーろぱちー

膠原病性ニューロパチー

膠原病性ニューロパチーについて解説します。

執筆者:

どんな病気か

膠原病とは、全身の膠原線維にフィブリノイド変性という病理変化を来す疾患群をいいます。膠原病には、全身性エリテマトーデス強皮症(きょうひしょう)、皮膚筋炎関節リウマチリウマチ熱結節性多発動脈炎の6つの疾患と、これらの膠原病が2つ以上合併する混合性結合組織病シェーグレン症候群などの膠原病近縁疾患があります。

これらの疾患は膠原病内科で診療が行われますが、重い神経症状が現れてくると、神経内科と共同で治療にあたることも少なくありません。

膠原病やその近縁疾患のなかで、末梢神経障害を引き起こすものがあり、これらを総称して膠原病性ニューロパチーといいます。

原因は何か

ニューロパチーで高頻度にみられるのは血管炎による多発性単ニューロパチー(ニューロパチーとは)です。関節リウマチでは、関節の変形による神経の圧迫が現れる圧迫性ニューロパチー(正中(せいちゅう)神経の圧迫による手根管(しゅこんかん)症候群や尺骨(しゃっこつ)神経の圧迫による肘管(ちゅうかん)症候群など)と、血管炎による単ニューロパチーが現れます。

結節性多発動脈炎全身性エリテマトーデスなどに比べて少ない疾患ですが、ニューロパチーが現れる頻度はほかの膠原病よりはるかに高い状態にあります。

シェーグレン症候群では、血管炎による急性のものと、慢性の経過をたどり、感覚神経だけが左右対称に遠位部から侵されてくる失調性感覚性(多発性)ニューロパチーの2つの型があります。

血管炎は、ニューロパチーを起こしている神経(そのほとんどは足の外側のくるぶし付近にある腓腹(ひふく)神経)や、筋肉を少しとり(生検)、その組織にある小動脈、細動脈の血管壁に細胞浸潤(しんじゅん)とフィブリノイド壊死(えし)という組織所見があることを特徴とします。膠原病性ニューロパチーは、神経に炎症所見があるので神経炎と呼びます。

症状の現れ方

急性期には、神経の局所に激しい痛み、時に灼熱痛(しゃくねつつう)、熱感、浮腫(ふしゅ)(むくみ)がみられ、痛覚、温・冷覚などの異常がみられます。運動線維が障害されると、筋力の低下、筋萎縮が現れてきます。上肢や下肢の運動神経が侵されると下垂手(かすいしゅ)(橈骨(とうこつ)神経麻痺)、下垂足(かすいそく)(尖足(せんそく))を示します。

治療の方法

血管炎による場合は、できるだけ早く副腎皮質ステロイド薬の投与を行います。治療が遅れると後遺症が現れてきます。

情報提供元 : (C)株式会社 法研 執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。