病気事典[家庭の医学]

のうどうじょうみゃくきけい

脳動静脈奇形

脳動静脈奇形について解説します。

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どんな病気か

異常な動脈と静脈がひと塊(かたまり)になっていて、そこへの流入動脈から多量の血液が流れ込み、流出静脈から流れ出ます。一種の血管の奇形で、脳の内部、脳の表面、硬膜などいろいろな場所に起こります。自然に破れて、くも膜下出血(まくかしゅっけつ)や脳内出血を起こしたり、てんかんを起こしたりします。

原因は何か

年齢とともに次第に大きくなっていくようですが、いつできるのか、原因は何かということはわかっていません。

症状の現れ方

最も多い症状は脳内出血で、侵された脳の部位に応じて、片麻痺(かたまひ)、言語障害、視野障害、感覚障害などが起こります。自覚症状として、頭痛、吐き気、嘔吐なども起こります。

次に多いのはてんかん発作です。片側の上肢または下肢に起こる焦点性のけいれん発作、あるいはそれが全般に広がる二次性全般発作などが典型的です。

くも膜下出血で発症する場合には、突然に強い頭痛が起こり、それが続きます。同時に、吐き気、嘔吐が起こることがあります。出血の量が多い場合には意識が障害されます。ただし、脳動脈瘤破裂(のうどうみゃくりゅうはれつ)によるくも膜下出血よりは軽い症状ですむことが多いようです。

慢性的な頭痛が起こることもあります。

検査と診断

造影剤を使った頭部CT、あるいは頭部MRIで診断できます。手術をするには、脳血管撮影(図13)で流入動脈、流出静脈を詳しく調べる必要があります。てんかん発作がある人には、脳波検査を行います。

治療の方法

脳内出血やくも膜下出血を起こしたら、入院して安静にし、状態が安定するのを待ちます。てんかん発作を起こした人に対しては、抗てんかん薬を投与します。

治療の原則は外科手術による動静脈奇形の全摘出です。実際には年齢、性別、動静脈奇形の部位、大きさ、合併症などによって手術をするかどうか決めます。手術が困難であるような患者さんには、血管内治療による塞栓術や、ガンマナイフによる放射線治療も行われています。

病気に気づいたらどうする

頭痛の時でも、てんかん発作の場合でも診断のためには検査が必要です。同じような症状を起こす病気と区別する必要があるので、神経内科、脳神経外科の専門医の診察を受けてください。

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