病気事典[家庭の医学]
のう・しんけい・きんのびょうきとそのとくちょう
脳・神経・筋の病気とその特徴
脳・神経・筋の病気とその特徴について解説します。
執筆者:
国家公務員共済組合連合会立川病院院長
篠原幸人
解説(概論)
人間の体はたくさんの臓器から成り立っています。医学の進歩とともに、心臓、肺、肝臓、腎臓などはほかの人からの移植が可能になり、また、人工呼吸器や人工関節なども精巧なものがつくられるようになりましたが、脳だけは他人から移植されたり人工のものに代えることはできません。これができるのは空想映画や漫画の世界だけです。したがって、脳死が心臓死よりも優先されるべきという考えが成り立つのです。
それほど、人間にとって最も大切な臓器である脳は、ものごとを考え、人を愛し、見えたものを口に出してその名前を言ったり、聞こえた言葉を理解したり、また痛みを感じたり、命令を出して手足を自由に動かしたりするはたらきをします。一方、皮膚で感じたことを脳に伝えたり、脳の命令で手足を動かす時には末梢神経がその通路になります。手足が動くのは実際には筋肉が動くからです。
したがって脳の病気では、意識がなくなったり(昏睡(こんすい))、ものごとが正しく考えられなくなったり(認知症(にんちしょう))、運動の命令を伝える神経は脳のなかで反対側に交差してから左右の手足に分布するので、病気の起こった側と反対側の手足が麻痺(まひ)(片麻痺(かたまひ))したりするのです。
また末梢神経の病気では部分的に感覚が鈍(にぶ)くなったり、手足の一部が動かなくなったりします。一方、筋の病気では筋萎縮症(きんいしゅくしょう)という言葉があるように、一部の筋肉や時には全身の筋肉が痛くなったり、やせてきたり、うまく動かなくなったりします。
このような脳・神経・筋の病気には脳血管障害(のうけっかんしょうがい)(脳卒中(のうそっちゅう))、アルツハイマー病、脳血管性認知症、パーキンソン病、脳炎、髄膜炎(ずいまくえん)、脳腫瘍(しゅよう)、末梢神経炎(まっしょうしんけいえん)(ニューロパチー)、筋ジストロフィー、その他の筋萎縮症などがあります。また、脳・神経・筋の病気があるかどうか検査しなければならない症状には、意識障害、頭痛、めまい、しびれ、言語障害、けいれん、手足の麻痺などがあります。
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