病気事典[家庭の医学]

かいせんいじょう

回旋異常

回旋異常について解説します。

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どんな病気か

分娩の経過とともに、胎児は産道をとおりやすいように少しずつ体の向きを変えながら、骨盤内に進入していきます。これを回旋と呼び、内診によって評価されます。反屈位(はんくつい)、低在横低位(ていざいおうていい)、前方前頭位(ぜんぽうぜんとうい)など回旋の異常のために分娩の順調な進行が妨げられる場合を総称して回旋異常と呼びます。以下に正常な回旋とその異常について説明します。

(1)第一回旋図17):頭位の胎児は骨盤入口部であごを引いて胸につけた屈位をとる。この胎勢が産道に入る姿勢としては最も児頭が細くなって産道をとおりやすくなる。胎児が逆にあごをあげた姿勢をとる場合、反屈位(はんくつい)と呼ぶ。

(2)第二回旋図18):児頭は横向きで産道に入り、下降とともに徐々に回転し、出る時には縦向きで顔面が母体の背側を向く。この場合、母体の前方に子の後頭部があるので前方後頭位(ぜんぽうこうとうい)と呼ぶ。

第二回旋の異常としては、第二回旋が起こらず、児頭が骨盤の出口付近まで横向きのまま下降する低在横定位(ていざいおうていい)、逆方向に回転して顔面が母体の腹側を向く前方前頭位(ぜんぽうぜんとうい)などがある。

(3)第三回旋図18):児頭が前方後頭位で骨盤の出口まで下降すると後頭部は恥骨(ちこつ)の下で固定され、これを支点として、屈位となっていた頭部が前方に伸展するとともに娩出される。

(4)第四回旋:児頭は娩出されると、もとの横向きにもどる。これを第四回旋と呼ぶ。

原因は何か

骨盤の形態異常や児頭骨盤不均衡(じとうこつばんふきんこう)(児頭が母体の骨盤の広さに比べて大きすぎて順調に産道を通過できない状態)が主な原因です。

症状の現れ方

陣痛が持続しているのに分娩が進行しない場合、回旋異常の有無を検討する必要があります。時間とともに陣痛が弱くなって微弱陣痛になってしまう場合、また逆に強くなって過強(かきょう)陣痛になってしまう場合もあります。

検査と診断

内診、超音波検査、必要に応じて骨盤のX線検査を行って診断します。

治療の方法

回旋異常になっても骨盤に十分な広さがあり十分な陣痛があれば分娩の進行が可能なことも多いのですが、分娩の進行が認められない場合は、経腟(けいちつ)分娩をあきらめ、帝王切開による分娩を行います。

病気に気づいたらどうする

分娩の進行が不良な場合は、回旋異常の可能性を考えて検査を行います。

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