病気事典[家庭の医学]
にんしんとせいきへるぺすしょう
妊娠と性器ヘルペス症
妊娠と性器ヘルペス症について解説します。
執筆者:
がん・感染症センター都立駒込病院婦人科医長
八杉利治
妊娠と性器ヘルペス症の解説(コラム)
妊娠中に性器ヘルペス症が発症しても、それが胎児に及ぼす影響はありません。しかし、分娩時に母体が性器ヘルペス症にかかっていると、産道で胎児が単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染し、新生児ヘルペスを発症します。
性器ヘルペス症が初感染である場合には約50%、再発でも数%の新生児ヘルペスが発症するといわれています。初感染の性器ヘルペス症で新生児ヘルペスの発生が多いのは、母体のHSVに対する抗体がないことが関係しているのではないかと推測されています。
新生児ヘルペスは死亡率が高い病気なので、分娩時にヘルペス性病変が外陰部や腟にみられる時は、帝王切開を行って分娩時の感染を防ごうとすることが一般的です。
最近では、ヘルペスに対する抗ウイルス薬であるアシクロビルの胎児への影響が少ないことがわかってきて、妊娠中でも積極的にアシクロビルの投与を行い、帝王切開を避けようとする意見もあります。
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