病気事典[家庭の医学]

ふせいせいきしゅっけつ

不正性器出血

不正性器出血について解説します。

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どんな病気か

女性性器からの出血のうち、生理的でないものをすべて不正性器出血と呼びます(表7)。生理的な出血とは月経と出産時の出血およびその後の悪露ですので、非妊娠時に起こる月経以外の出血は不正性器出血とみなしてよいことになります。

原因は何か

表7に出血原因を、出血の時期および部位から分類して示します。このように、非常に多くの状態が不正性器出血の原因となりえます。

症状の現れ方

原因によって症状の現れ方はさまざまです。また原因によっては、ほかの症状を伴うことを特徴とすることもあります。

腫瘍性病変の場合は、性交中や性交後に出血が起こることが特徴ですが、子宮体部の腫瘍の場合は、性交と関係はあまりありません。感染や炎症を原因とする場合は、発熱や痛みを、また帯下(たいげ)(おりもの)を伴うこともあります。帯下と出血が混じり、一見、出血が濁った色調になっていることもあります。

機能性出血は、形態上の明らかな病気がなくて起こる出血です。排卵期に起こる排卵期出血(中間期出血)、黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)に伴う黄体期の出血、更年期に起こる月経前後の長く続く出血など、出血の時期に特徴があります。

検査と診断

出血部位を確認するための視診がまず重要です。外傷の有無も、視診で診断できます。また、妊娠中であるかどうかも最初に確認します。本人が妊娠に気づいていないこともあり、尿検査が必要になることもあります。何か薬剤をのんでいないか、持病がないかという情報も出血の原因を探るのに重要です。

性器からの出血であることが確認でき、妊娠中でない時は、最も重要な病気である腫瘍のスクリーニング(ふるい分け)検査が必要です。子宮頸部(けいぶ)の表面や子宮体部の内部を軽くこすって細胞を採取し、病理学的検査(細胞診)を行います。細胞診で異常所見がみられた場合は、組織診などの精密検査が必要です。

このほかには、疑わしい原因に応じた検査を行います。感染・炎症が疑わしい時は、細菌培養やクラミジアの検査を行います。子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)や、炎症から進行した膿瘍(のうよう)などについては、超音波検査などの画像診断が有効です。子宮内の避妊用リングも、超音波検査でほぼ確認できます。妊娠中の出血についても、超音波検査によって流産や胎盤の異常などの診断ができます。機能性出血については、基礎体温の計測やホルモンの測定が役に立ちます。

治療の方法

それぞれの病気に応じた治療が必要です。機能性出血であることが明白となれば、多くの場合、治療は必要ありません。

病気に気づいたらどうする

婦人科への受診が必要です。その際、出血が起こったきっかけがないか、同時に起こる症状はないか、月経との関係はどうかなどをまとめておき、基礎体温を測った記録があれば持参します。

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