病気事典[家庭の医学]

らんぽうきたんしゅくしょう

卵胞期短縮症

卵胞期短縮症について解説します。

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どんな病気か

排卵月経周期がある女性で、卵胞期が短縮するために月経周期が短縮する状態です。頻繁に月経が来ることで気づきます。

月経周期には個人差があります。もともと短い周期の正常排卵周期の女性もいて、このような場合は卵胞期短縮症という病気とは異なります。

また、思春期で排卵周期が確立する前の段階で、短い周期で月経が来ることもあります。これは無排卵で、卵胞期短縮症ではありません。

原因は何か

加齢とともに卵巣機能が低下してくると、脳の中枢へのフィードバックが十分に機能しなくなり、中枢からの卵巣刺激ホルモンの分泌が上昇するようになります。卵巣機能の低下がまだ軽度の段階では、上昇した卵巣刺激ホルモンに反応する卵胞もあり、このため卵胞の発育が早まり、排卵が早く起こります。

したがって、妊娠の機会が増すこともありますが、このような年齢での卵は質的に十分でない場合が多く、妊娠が成立しない、または成立しても流産につながることがあります。

症状の現れ方

月経周期の短縮という症状で自覚されます。基礎体温を測ると、排卵性周期であることがわかります。

検査と診断

基礎体温を測って卵胞期の短縮が認められれば、卵胞期短縮症が疑われます。さらに血液中の卵巣刺激ホルモン(ゴナドトロピン)、とくにそのなかの卵胞刺激ホルモン(FSH)の濃度を測定して軽度に上昇していれば、卵巣機能が低下しているとされ、卵胞期短縮症と考えられます。

治療の方法

妊娠を望むかどうかで対処法が異なります。妊娠を望まない場合は、治療の必要はありません。妊娠を望む場合は、内服薬や注射薬の排卵誘発剤を用いた排卵誘発療法を行います。やや上昇しているゴナドトロピンを抑制するために、GnRHアゴニスト剤という点鼻薬を併用する場合もあります。

こうすることによって、短縮している卵胞期の長さを是正します。ゴナドトロピンの上昇の程度によっては、妊娠への誘導が容易でないこともあります。

もともと卵胞期が短めで、ゴナドトロピンの上昇もみられない場合は、自然周期での妊娠の可能性があるので、しばらく経過を観察します。

病気に気づいたらどうする

月経周期が短いと思った場合、まず以前と比較して短くなったのか、それとももともと短かったのかをチェックします。同時に基礎体温を測り、グラフ化して排卵の有無を確認します。このような情報を準備したうえで、専門医に相談するとよいでしょう。

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