病気事典[家庭の医学]

けっせつせいこうかしょう

結節性硬化症

結節性硬化症について解説します。

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結節性硬化症の解説(コラム)

 結節性硬化症は母斑症のひとつで、優性遺伝(ゆうせいいでん)形式を示す病気です。日本での発生頻度は約1万人に1人と考えられています。9番染色体か16番染色体上のどちらかの遺伝子異常で起こることが証明されています。この病気ではさまざまな病変がみられ、個人や年齢によって症状が異なります。

 約9割にけいれん発作が、約半数に知的障害がみられます。また、皮膚症状の頻度も高く、学童期から頬に多発する赤色の小結節(顔面血管線維腫(せんいしゅ))が特徴的です。約半数では乳幼児期に心臓に腫瘍(横紋筋腫(おうもんきんしゅ))がみられますが、これは徐々に小さくなり自然に消退します。

 腎臓の病変が約8割にみられ、平滑筋脂肪腫(へいかつきんしぼうしゅ)が次第に大きくなる傾向があります。そのほか、眼や肺、骨などの病変を伴うこともあります。

 治療としては、けいれん発作に対する内服療法が重要です。早くから発病し発作のコントロールがうまくできない場合は、知的障害が重症化する可能性があります。命に関わるような問題は一般に多くはないのですが、乳幼児期の横紋筋腫による心不全、成人期の血管平滑筋脂肪腫の出血などには注意が必要です。

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