病気事典[家庭の医学]
ういるすかんせんしょうのよぼう
ウイルス感染症の予防
ウイルス感染症の予防について解説します。
執筆者:
藤田保健衛生大学小児科学教授
浅野喜造
ウイルス感染症の予防の解説(コラム)
ウイルスは大変小さな病原微生物で、他人の細胞がなければ自分の子孫をつくれません。一方、細菌は栄養分があれば他人の細胞がなくても子孫をつくれます。身近なところでは麻疹(ましん)、風疹(ふうしん)、水痘(すいとう)などがウイルスによる病気です。最近、鳥(とり)インフルエンザウイルスがヒトにも感染し、世界を震撼させていますが、これもウイルスの病気です。
ウイルス感染症が成立するには、ウイルスに免疫のないヒト(感受性者)、ウイルスを排出するヒト(ウイルス病にかかっているヒト)、ウイルスが侵入する経路(感染経路)の3つが重要で、ウイルス感染症成立の3要素といいます。したがってウイルス感染症を予防するには、この3要素に対処しなければなりません。
身近なウイルス感染症にかからないようにする最も確実で現実的な方法は感受性者対策で、人工的に免疫をつくること、すなわちワクチン接種です。ウイルスワクチンには生ワクチンと不活化(ふかつか)ワクチンがあります。生ワクチンには生きたウイルスが含まれていて、その病原性は弱められている(弱毒化)ものの免疫をつくる力(免疫原性)は保たれています。
現在使われているものとしては麻疹、風疹、ポリオ、水痘、おたふくかぜのワクチンがこれに該当します。特徴として、ワクチンウイルスが体のなかで増殖するため、自然にかかった場合に近い免疫がつくられることがあげられます。そのために免疫が長く続くことも特徴です。
一方、不活化ワクチンには、インフルエンザ、B型肝炎、A型肝炎などがあります。このワクチンには生きたウイルスは含まれていません。ウイルスは殺された状態(不活化)のため増殖ができないので、免疫をつくるためには何回も接種しなければなりません。生ワクチンも不活化ワクチンも規定どおり接種を受ければ十分な免疫ができます。また問題になる副作用もありません。
定められた期間に接種を受けるもの(定期接種)と、定められてないもの(任意接種)がありますが、いずれも早めに接種を受けることが上手な受け方になります。小児科医に相談されるのがよいでしょう。
子どもの病気を読んだ人によく読まれている記事
子どもの病気でよく読まれている病気解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。