病気事典[家庭の医学]

たいいせいたんぱくにょう

体位性蛋白尿

体位性蛋白尿について解説します。

執筆者:

体位性蛋白尿の解説(コラム)

 体位性蛋白尿は、安静にすれば2時間以内には蛋白尿が消失してしまう生理的蛋白尿で、成長期の小児に多くみられ、病気ではありません。多くの場合は思春期を過ぎる頃には自然に消失し、腎機能も障害されません。学校検尿で、蛋白尿のみの異常で見つかる場合の約70%は、体位性蛋白尿と診断されます。

 学校検尿は通常は一晩安静後の早朝尿を提出するので、体位性蛋白尿であれば早朝尿は通常蛋白陰性です。しかし、時々検査前夜に排尿を忘れた場合には早朝尿にも蛋白尿がみられ、腎疾患との区別が難しくなります。体位性蛋白尿と他の腎疾患を区別するために、腰に棒を当て5〜10分ほど負荷(ふか)をかける前弯(ぜんわん)負荷試験を行う場合があります。負荷後に蛋白尿が強まり、その後ベッドに横になり、2時間以内に尿蛋白が消失すれば体位性蛋白尿と診断されます。慢性糸球体腎炎では安静にしても通常は蛋白尿が消失しません。

 体位性蛋白尿の診断に最も良い目安は、早朝尿で蛋白尿がみられないことです。検査前夜にトイレに行くことを忘れないことが大切です。

      情報提供元 : (C)株式会社 法研 執筆者一覧
      掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。