病気事典[家庭の医学]
あいじょうしゃだんしょうこうぐん
愛情遮断症候群
愛情遮断症候群について解説します。
執筆者:
慶應義塾大学医学部小児科学助教
関口進一郎
原因は何か
乳幼児に多くみられます。子どもは愛情ばかりでなく、十分な栄養も与えられていません。母親など養育者が深い悩みを抱えていたり、うつ状態であったり、薬物依存や知的障害、精神的な病気をもっていたりして、適切な子育てができないことが原因です。
養育者自身が、子ども時代に十分な愛情を受けて育っていない場合に、世代を超えて子育てに影響すること(世代間伝達)もあります。
症状の現れ方
栄養障害による症状(身長が低い、体重の増えが悪い、腕や脚が細い、やせている、肋骨が目立つ、お尻がへこんでいる)、不適切な養育の結果として観察されること(おむつかぶれがひどい、皮膚が汚い、汚い服を着ている)、子どもの心理的な変化や行動異常(目を合わせない、表情に乏しい、抱きついたり寄り添ったりしない、親に抱かれるのを嫌がる、異様な食欲増進、おしっこやうんちをもらす、寝つきが悪い、かんしゃく)がみられます。
検査と診断
身長、体重、頭囲の計測値から成長曲線をつくり、成長を評価します。食事の内容から栄養学的な分析をします。養育環境についての情報を集めます。ストレスの少ない環境で十分な栄養を与えると、体重が増加し、成長の遅れは取りもどされます。
治療の方法
子どもには年齢に見合った十分な食事を与えます。時には入院させることもあります。食事の内容について栄養指導を行います。子どもと養育者にとって、ストレスの少ない環境になるように調整をします。養育者に対する心理カウンセリングが必要な場合もあります。
病気に気づいたらどうする
母子手帳の成長曲線をつけてみましょう。子どもらしい豊かな表情をしているかどうか、気を配りましょう。心配なことがあれば、保健師や小児科医に相談しましょう。
子どもの病気を読んだ人によく読まれている記事
子どもの病気でよく読まれている病気解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。