病気事典[家庭の医学]

いま、きをつけるべきびょうき

今、気をつけるべき病気

今、気をつけるべき病気について解説します。

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麻疹(ましん)(はしか)

全国的に麻疹の流行が問題になっています。麻疹にはこれといった治療法がなく、しかも感染から回復期までの約1カ月間、免疫不全状態に陥るため、二次感染などの合併症で命の危険にさらされてしまいます。日本では年間10〜20万人が麻疹にかかり、20人前後が亡くなっています。現在、日本における麻疹ワクチンの接種率は80%前後と低率になっていますが、麻疹の流行や合併症を防ぐために、生後12カ月になったらできるだけ早く予防接種を受けることが大切です。

小児生活習慣病

心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中(のうそっちゅう)は日本人成人の死因の第2位、3位を占めていますが、主な原因は動脈硬化です。動脈硬化を進める危険因子として、肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病などが知られており、これらが小児でみられる場合に小児生活習慣病と呼びます。動脈硬化は子どもの時から始まるので、早くから小児生活習慣病に対する対策を立てる必要があります。

なかでも、肥満は高脂血症、高血圧、糖尿病などを合併しやすく、肥満そのものが動脈硬化危険因子であることに加え、二重に危険因子を背負い込むことになります。しかも肥満の子どもは年々増えており、この30年間で約3倍に増えました。現在、小学校高学年〜中学生の10人に1人が肥満という状態です。肥満小児を40〜50年以上の間追跡調査したいくつかの報告でも、将来、脳卒中や心筋梗塞などによる死亡が多いという結果が出ています。また、小児期の肥満は高率に成人肥満に移行しやすいことも明らかにされています。

とくに、幼児期の肥満が要注意で、肥満成人の約半数は幼児期に肥満が始まっています。したがって、一生にわたって健康な生活を維持するためには、小児期から積極的に肥満対策を行う必要があります。

川崎病(かわさきびょう)

川崎病は4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の急性熱性疾患で、毎年6000人程度が発症します。39℃以上の発熱が5日以上続くほか、特徴的な症状として、両眼の充血、赤い唇、イチゴ舌(ぜつ)、発疹、手足の変化(急性期は赤くむくみ、回復期に先端の皮がむける)、頸部(けいぶ)リンパ節の非化膿性のはれなどがみられます。川崎病で最も問題になるのは、急性期に心筋炎、冠動脈障害、心膜炎などの心血管障害を合併することです。10〜20%に、心臓に栄養を送る血管である冠動脈にこぶや拡大を認め、全体の約5%が冠動脈狭窄(きょうさく)や閉塞に進みます。死亡率はかつては2%と高かったのですが、γ(ガンマ)-グロブリン治療が行われるようになってから低下し、最近は0・1%以下です。

本編の分類・構成について

出産直後の新生児から青年期に至るまで、あらゆる子どもの病気を取り上げました。小児科領域における各分野のエキスパートに加え、外科、整形外科、皮膚科、精神科など多くの診療科の先生方に専門分野の執筆をいただきました。

お子さまの健康について心配するご家族のために、できるだけやさしい言葉づかいを心がけて書かれていますが、内容は極めて最新です。大いに活用され、お子さまが心身ともに健やかに育たれますことを心から願っています。

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